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怡土城跡(いとじょうあと)・福岡県糸島市

 怡土城跡は、糸島市と福岡市の境にそびえる高祖山(標高約416m)の西側斜面に築かれた山城です。『続日本紀』には、756年に吉備真備(きびのまきび)が担当して造営を開始し、途中、佐伯今毛人(さえきのいまえみし)に担当がかわりながら、12年の歳月をかけ、768年に完成したと記されています。この怡土城は、高祖山の斜面から麓にかけて、たすき状に城域が巡ることから、山の等高線に沿って鉢巻状に城域が巡る朝鮮式山城とは区別して中国式山城とも言われます。

 怡土城跡では尾根線上に望楼跡が計6ヶ所存在するとともに、山裾には南北約2kmにわたって土塁が構築されています。大鳥居口と呼ばれる城門跡の南側には「怡土城址」と刻まれた大きな石碑が建っていますが、そこからさらに南側には土塁跡がとてもよく残っています。高さは10mほどで、土塁の上から下をのぞき込むとその高さに怖くなるほどです。

 怡土城跡の近くには雷山神籠石も所在します。玄界灘に面するこの地が古代において、どれだけ重要だったかが分かるような気がします。

写真は

 上:大鳥居口(城門跡)

 中:怡土城址石碑

 下:土塁