平成20年度 第4回館長講座「基肄城(きいじょう)」レポート
平成20年度 第4回館長講座レポート
開催日:平成20年9月14日
テーマ:「基肄城(きいじょう)」
講師 :田中正弘氏(佐賀県基山町教育委員会)
9月の第4回は、田中正弘氏をお招きし、「基肄城」をテーマにご講演いただきました。
国の歴史書『続日本紀』には、「698年、大宰府に、大野・基肄・鞠智の三城を修理させた。」という記録があります。鞠智城と同時期に存在していた基肄城です。
講演に先立つ現地の映像では、頂上404.5mという基山を中心に築造されている基肄城の立地を知ることができました。また、門跡や土塁など、古代山城としての構造の見どころについても映像で見ることができました。
講演では、まず、当時の日本と大陸の関係や663年の白村江の戦い後の日本に朝鮮式山城が形成されていく過程について丁寧な説明がありました。次に、基肄城の構造について、石塁の存在やその一部が水門になっていることをはじめ、門跡や土塁、礎石建物などの詳しいお話がありました。近年、基肄城を歩いて見ることができるように遊歩道を整備中ということでした。
対談では、いくつかの点について話が展開されました。城内の尾根線を階段状にしたところにある大礎石群と呼ばれる礎石建物跡については、何か特別な性格の建物であったことが考えられています。その他、門跡などの遺構についても、まだ様々なことが考えられますが、発掘調査により解明すべき点がまだまだあるようです。また、小水城である「とうれぎ土塁」と「関屋土塁」の役割についても話があり、とても興味深いものでした。
今回もたくさんのご参加を頂きました。たいへんありがとうございました。